ARCHICADで複雑かつ規則的な構造体をモデリングしていく方法まとめ
こんにちは!
規則的な列柱、構造体の反復などといった造形は美しいものができる反面、スタディ模型では制作に時間がかかり、やり直しがきかないために構造やプロポーションの検討が難しいことがあります。
そこでARCHICADの3Dモデリングを効率的に用いることで、そのような問題を解決し、効率的なスタディ検討のできる方法をご紹介します!
[PR]
連続コピー
連続コピー_移動
列柱などの規則的な製図やモデリングにあたって欠かせないのがこの「連続コピー」です。
連続コピーは、柱や壁、線などの要素を任意の数、間隔で平面、断面的に配列することのできるコマンドです(ショートカットCtrl+Shift+V推奨)
あるいは複製したい要素の右クリックから呼び出せます。
最もよく使うのが「移動」項の「増加」です。
まずは複製したい数(=コピー数)とその垂直間隔(ここでは1000㎜)を選択できます。
次に水平の間隔を平面図上で決めることができます。
するとこのように一定間隔で水平、垂直距離で列柱を作成することができます。
「展開」では間隔を指定できるので、nメートルずつ柱を配置するといった作業をする際に非常に便利で、効率よく設計を進めることができます。
「分配」は一見、「増加」と設定が同じですが垂直移動距離も分配されるという特徴があります。
「増加」と同じ設定ですが高さの間隔に違いがあるのがお分かりいただけるでしょうか。
この立面図の通り、垂直移動距離も分配されています。
なので、例えば柱など配置する本数は決まっているけれど、間隔が定まっていないときに有効です。CADでスタディする際にも便利なツールではないでしょうか。
ほかにも「展開」項からは円弧上に配列ができたりと、多彩な機能をもっているのでお試しください。
ちなみに、こちらの記事ではRhinocerosのコマンド「Array」が紹介されています。
連続コピーに非常に似た、規則的に配列していくコマンドです。ARCHICADと併用しているという方はぜひご覧ください。
連続コピー_回転
続いて連続コピーの回転について紹介していきます。
まずはコピーしたいオブジェクトを選択し、コピー数などを決めます。
今回は柱を例にやってみたいと思います。
次に柱を配置する円の半径を入力します。
半径を設定したら、間隔にあたる角度を定めていきます。
今回は45°に設定しています。なので、直径8000mmの円弧上に柱が45°ずつずれて配置されていきます。
柱が配置されました!上部から見るとこんな感じです。
垂直移動距離を1000mmずつに設定しているので、このように回転しながら高さも変化していきます。螺旋階段などを作る際に便利な機能になります。
今度は回転の展開で試してみましょう。
展開では柱を配置する円弧の範囲と角度(間隔)を定めることで最後に本数が決まります。
展開は結構イメージするのが難しいと思うので、実際に一度使ってみるとわかりやすいと思います。
半円(180°)に対して30°の間隔で柱が配置されました。
最後は回転の分配を試していきましょう。
コピー数と垂直移動距離を指定していきます。
この時注意しなくてはならないのが垂直移動距離の部分です。増加と異なり、ここで設定した距離が分配されます。
今回は角度を90°に設定して四半円上に柱を配置してみます。
四半円上に柱が5本、等間隔で配置されました!
高さも分配されているので250mmづつ高さが変化しています。
[求人情報]
高さの編集
RhinocerosとARCHICADのおおきな違いとして、前者は3Dモデルをみながら設計していくのにたいし、ARCHICADでは平面図をみながら設計していく人が多いです。
しかし、実はARCHICADでもある程度は3Dビューからモデリングしていくことは可能で、プロポーションの検討においてはこの手段の方が有効な場合もあります。
複数選択したモデルに対して部材の高さ寸法を変えたり、
複数選択中にオブジェクトの端点(画面で点のマーカーのでている柱の一角を)をクリックすることで、Rhinocerosのように3Dビュー上で直観的にモデルの高さなどを変更できるようになります↓
レイヤー分けと「選択と検索」
例として、このような複雑な木造架構のモデルを使います。
このような架構は模型をいったん作ってしまうとなかなか修正がきかないのですが、プロポーションや構造の修正はどうやって行えばよいのでしょうか?
レイヤー分け
その一つがレイヤー分けです。このデッキでは柱、梁、根太などがユニット化され配列されていますが、最小ユニット時点で種々のモデルを細かくレイヤーで分けしたものを上述の連続コピーで配列してあります。
検索と選択
二つ目が画面右上から呼び出せる「検索と選択」です
「追加」→「パラメータとプロパティ」を選択
「レイヤー」から選択したい任意のレイヤーを呼び出します。
「選択と検索」ではレイヤーをオブジェクトの集合として複数選択できます。
たとえばすべてのレイヤーに関して「等しい」、最下段から一つ上のレイヤーに関して「又は」と設定し「+」をクリックすれば最下段のレイヤーが全選択されます。よくわからなくとも、とりあえずこのツールを使えば各レイヤーを全選択することができるとおぼえてもらえればよいと思います。
まとめ
上記の項を複数組み合わせることで、複雑な架構のプロポーション検討がかなり効率化できます。
例えば「検索と選択」で複数選択したオブジェクトに対して3D上で形や角度の変更を加えたり、あらかじめレイヤー分けしたオブジェクトを連続コピーで複製するなどアプローチは様々ですが、模型では不可能な検討アプローチのできるのが3DCADの大きな強みだといえます。
ぜひ使ってみてください!