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建築学生が学生団体に所属する意義とは

みなさんこんにちは!

建築を学んでいる学生の皆さんの中には、

「サークルに入りたいけどどこに入ればいいかわからない…」

「せっかくの大学生活、何か実際に建築に関わるような活動がしてみたい!」

「大学の学びだけだと自分の知識を確かめる場所がない…」

などの悩みを持っている人も多いのではないでしょうか。

そんな方に今回の記事で紹介するのが

「学生団体に所属する」

という選択肢です。団体の選び方からその意義、メリット・デメリット、注意点までを、実際に某建築学生団体に3年間所属し、最後の1年間代表をしていた本記事の筆者が、ひいき目なしにできる限りわかりやすく解説したいと思います!一般に語られているような内容に比べて、マイナスなことをあえてかなり多く記載しているので、「胡散臭…」と思わずに面白半分でも見てみてください。

それではいきましょう!

 

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そもそも「学生団体」って何なの?

一般に「学生団体」と聞くと、「意識が高い系(あるいはそれっぽい)大学生の集まり」や「大学の枠をこえただけで、サークルと同じでしょ?」といった印象を持つ人もいると思います。

実はこの印象は半分当たっていて、世間の印象通りのような学生団体も多く存在しているのが現実です。今回の記事で「具体的にどの団体がそれに該当して、どの団体がおすすめか」といった内容は全く紹介しませんが、所属する団体選びは慎重に行った方が良いことは確かです。

「サークル」と何が違うのか

まずサークルとの違いについて説明します。みなさんの大学に必ずと言ってもいいほどある「サークル」とは一般に、共通の趣味や興味を持った仲間同士が集まってできた団体のことを指します。それぞれが個人・または団体の利益を強く意識することが多いです。

それに対して学生団体の多くは、それぞれが社会的に有意義であると考える(←ここ重要)イベントや活動を行っていることが多いです。なので中には、NPO法人として実際に活動している団体もあります。

そのため、必然的に様々な大学の学生が集まる傾向にあり、規模もそこそこ大きいものが特徴です。ざっくりいうと、団体内で完結するコミュニティが「サークル」で、社会に向けて活動する大学生の集団が「学生団体」ということです。

なんとなく「かっこいいなぁ」なんて思ったそこのあなた!そういう方は特に注意が必要です。理由は次項で説明します。

学生団体の実態

「社会問題に対する活動」や「より充実した学生生活に!」ときくと一見サークルよりも良い選択肢のように見えますが、実際学生団体の中にはそういったイメージとはかなり離れた団体が存在しています。

そもそもサークルなどは、共通の趣味を通して「純粋に楽しい」活動をしていますが、学生団体の多くは「やりがいのある」活動をしています。ここが重要です。

そもそも活動の種類が異なるので、学生団体での活動の中にはある程度は辛い、疲れる、楽しくはない活動があることは必然です。それまでは仕方がないことなのですが、団体によっては、本当に社会的に意義のある活動や理念なのかが怪しい、または意義があると勘違いしている団体が存在しています。こういった団体が一般の印象である「胡散臭さ」や「なんちゃって意識高い系」というものを形成しています。中には「学生団体」を名乗っているだけのただの学生詐欺集団やねずみ講まで存在しています。

そのうえたちの悪いことに、そういった団体ほど「自分たちは素晴らしいことをしている」といった妄信をしている人が多く、実際は惰性や謎の連帯感に呑まれたまま所属している学生がたくさんいるのです。「学生団体もどき」とでも言いましょうか。

紹介記事なのにこんなにもネガティブなことを挙げるのはおかしいかもしれませんが、代表としてある程度他の学生団体と接触したからこそ、これから学生団体に入るみなさんには慎重になってほしいのです。

とはいえ、限られた適切な団体に所属していれば、後程上げるような様々なメリットを得ることができます。しかもその中には、建築学生であるからこそ必要なものも多くあります。

要するに、「入った後どうか」と同じくらい「団体選び」がかなり重要なのです。

 

失敗しないための団体選びとは

では具体的に建築学生はどんな学生団体を選べばいいのでしょうか?

まず、「建築学生が多く所属していること」は前提とさせてください。まったく建築に関連しない団体が建築学生にとって無駄とは言いませんが、ある程度は関連していないと個人の力に左右されすぎてしまうので…

そのうえで、お勧めする団体選びの観点は大きく三つあります。ただ、あくまで傾向からみた見分け方であって、必ずしも良い悪いを分けるものではないことをご了承ください。

1.「学生だからこそ」ではなく「学生でしかできない」ことをしているか

まず一つ目はこちらです。「学生」団体なんだから当たり前だろ、というか逆じゃないの?と思うかもしれませんが実はここが最も重要なポイントです。「学生団体もどき」の多くはここがちぐはぐです。

社会では当たり前のように行われていることを、学生のうちに早めに始めただけ、しかもスケールはかなり小さく、やっていることは名刺交換や小規模のビジネスなど・・・

そんな「社会に出たらできること」をわざわざ低クオリティで学生のうちにやる必要はありません。そんな暇があるなら、学生のうちはしっかり大学で知識を身に着けましょう。

なんとなく社会人っぽいことができる、でなく学生だからこそ可能なことができるが重要なのです。

建築学生的にわかりやすく言うとすれば、知識や技術が伴っていないのに無理やり設計して実際に建築物を建てたとしたら、その建築は良いものであるはずがないですよね。

学生のうちに実際どのように建つかを知りたければインターンやオープンデスクに行ってプロの現場を見た方が1000倍ためになります。

それよりも学生のうちは、そのために必要なソフトのスキルや様々な知識を身に着けることの方が大切です。というか、それを疎かにしてはいけません。

学生団体として、学生でしかできない貴重な経験ができ、そこから上記のような学びが得られるかを冷静に見定めてください。

2.客観的にみて評価が高いことを行っているか

見定めるのが難しいかもしれませんが、有意義な学生団体は必ずと言っていいほど、「団体外」からの評価の方が特に高い傾向にあります。(当たり前ですが。)

学生団体はとかく身内同士だけで互いを評価しあう傾向にありますが、見定めるべきは客観的に結果を残しているか、です。

重要なのは、議論をした、ワークショップをした、といったような「頑張った過程」ではなくそこから得たもので残した「結果」です。なので見分けかたとしては、やたらと「こうやって頑張る」を強調したがる団体ではなく、「このような結果を残して具体的にこのように評価されている。」ということが明確にわかる団体は安全なことが多いです。

そして結果を残している団体は、個人個人をみても優秀な人が多いです。実際に筆者が所属していた団体では、「設計」という面に絞っても、一般応募の学生コンペで何度も賞に輝く人や、学内での設計課題で優秀な成績を収めている人が明らかにたくさんいました。団体で得たスキルや知識を団体外でしっかりと生かしているのです。技術や知識のない人だけが集まっても有意義な議論や結果は生まれず、団体内での技術や知識の伝達は当然起こりません。団体に個人として優秀な人が多いということは、たまたまそういった人が集まったというわけではなく、団体内でしっかりと「優秀な人が育つ仕組み」ができている、ということにつながります。

そのため団体として成していることだけにとらわれず、所属している人が団体外でどのような結果を残しているかに注目すると、結果的に団体のレベルや評価もわかってくると思います。

3.社会的に信用がある企業と協力関係にあるか

*注意 この場合の「企業との協力関係」というのは、ただ社長と名刺を交換したとか知り合いになったなどの社交辞令的関係ではなく利害関係が発生する正式な契約のことを指します。

最後はある種、諸刃の剣的な見分け方ではありますが一番簡単です。企業の言いなりになっている団体は本末転倒なので面白くありませんが、有意義な団体の多くが結果を残す過程で企業と絡んでいるように思います。やっていることの規模が大きくなったり高度になるわけですから、必然的に外部の企業が出てきます。

ではなぜ企業が絡んでいると良いのか。それは各個人に「責任」が生じるためです。

学生団体内でのやり取りと違い、企業とのやり取りではかなり慎重に事を進めなければいけません。それに伴い団体の組織管理が徹底され、一つ一つのコンテンツの質も向上します。団体の一人が起こした失敗が、団体内だけでなく外部の企業にも影響を及ぼすことになるわけですから、各個人の行動にそれ相応のリスクが生じ、結果的にそれを背負えない人は抜けていきます。

かといって、企業のために無償で働く手先のようになっている団体は入らない方が身のためなので、バランスを見なければなりませんが、かなり手っ取り早い見分け方かと思います。

 

建築学生が感じるメリット・デメリット

ここまで適切な団体の見分け方を紹介してきましたが、もししっかりと有意義な団体に所属できた場合のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

まず第一に、大学で学べない範囲でのスキルや知識が身につくということです。ここまで読んでいただいた方にはすでに理由が伝わったかもしれませんが、純粋に優秀な人が多い傾向にあるので吸収できるものも質の高いものになります。

特に地方の大学に所属している学生(筆者もそうでした)は感じがちですが、大学では当サイトで紹介しているようなソフトのスキルや、設計に役立つ知識まではカバーしきれていません。専門の基礎知識や教養をしっかり学ばせることが大学では重要なことなので別に大学教育を批判しているつもりは毛頭ありませんが、これからの時代を生きる学生としては、それだけでは不十分だと感じている人も多いのではないでしょうか。

もちろん個人で探りに行けば当サイトのように知識を満たす場はありますが、こういった場と併用して、大学の枠を超えて優秀な人から直接伝えられる方がより効率がよく理解度も高いです。

 

第二に、自分の知識や作品をより多角的な視点から客観視できる場になる、ということです。大学にこもっていると同じ教授や友人からの評価にさらされることが増えてしまいがちですが、自分の知識や作品をより高いレベルに上げるためには、様々な視点に積極的自分をさらすことが重要です。コンペなどは予選を通らないと具体的な評価を受け取ることが難しいですが、学生団体であればそれが可能です。

また、ほかの人の知識や作品に触れる機会も増えるので、そういった面でも客観視する力が付きます。

とくに学生コンペの運営や卒業設計展を運営している団体に所属すると、大量の他人の作品だけでなく建築家が評価する点やその工程までも間近で触れることができるので、かなりためになります。

 

最後に、学生団体での活動は当然、大学外での活動になるので、専門外の人と関わる機会が圧倒的に増えます。建築分野は他の専門分野と比べて、様々な分野の知識を横断することが多いので、こういった機会は非常に重要で、何かと内側に籠りがちな建築業界にいてはなかなか体験しえないことになります。

細かい利点を除くと大きくこの三つがあります。

 

デメリット

一つ目は人によっては気にならないかもしれませんが、「学生団体」というものの印象のせいで、一部からは好奇の目にさらされるという点です。

実態の項目でも書きましたが、学生団体の中にはお粗末な団体がたくさんあるというのは紛れもない事実です。そのような団体の人たちは能天気に楽しくやっていればいいかもしれませんが、しっかり活動している団体からすると風評被害もいいところです。仕方がないので、周りの人の中には良くない印象を持っている人がいることを理解しましょう。

ただそのとき、そういった人たちに対して、「俺たちはお前らとは違うぜ」的な「学生団体もどき達」が持つような考えを抱くのはやめましょう。そういった人たちはあなたが団体で頑張っている時間、別の方面であなたと同じように努力しています。憎むべきはもどき達です。

 

二つ目は、刺激的な活動や知識にひかれすぎて、大学生活を疎かにしがちになってしまう事です。とかく建築学科にはアグレッシブな人が多いので、授業で学べない事にひかれてしまう気持ちもわかります。ただ、あなたは大学生です。優先すべきはバイトでも学生団体でもなく、大学のカリキュラムです。(先生みたいなこと言ってすいません。でも事実です。)

せっかくの有用な知識も、大学で学ぶ専門知識が疎かでは全く意味を成しません。絶対的に大学を優先した上で、団体での活動に励みましょう。

 

最後に注意点と伝えたいこと

ここまで記事を読んでみて、みなさんそれぞれいろんな印象を持ったと思います。

「団体しっかり選べばありだな」「やっぱりなんか胡散くさい…」色々あると思います。

自分から言えることは、あなたが感じたその印象を大事にしてください、ということです。

代表までやっといてなんですが、「学生団体に入ることはお勧めか?」と聞かれると、「人による」としか答えられないんです。本当に。

自分は所属してよかったと心から思っていますし、入っていた団体やその活動も良いものであると思っています。得られたものも非常に多く、そこから学生コンペなどの結果に結びつけることができましたが、そんな団体の中でさえ惰性で過ごして何も得ずに去っていった友人や先輩後輩もたくさん見てきました。中にはごく一部ですが、憎きもどき達のような振る舞いをする人すらいました。

なので自分の所属していた団体が本当に100%有意義なものであるかといわれると自信がないです。正確に言うのであれば、所属した人次第では確実にプラスな団体とその活動であったということは言えます。

こんな記事を書いておいて無責任な注意になってしまい申し訳ないですが、そういった危うさがあることを理解した上で所属を考えてみてください。

大事なことは、優秀な人に囲まれただけで自分も優秀であると勘違いせず、しっかり自分も優秀になろうと努力することです。所属するだけで有意義な団体なんて存在しません。

良い団体を選んだうえで、その中でどう動くかです。

 

それができれば、あなたの学生生活は本当に「より充実したものに」なるかもしれません。

長々と文ばかりでしたが、少しでも参考になっていただければ幸いです。

 

それではまた!

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