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模写をする時に意識すべき「3つの目」の重要性を解説

 こんにちは。やまちゅう(@sosoyamachu)です。

 

この記事では建築設計を学び始めたばかりの学生に向けて、

「建築図面や写真を模写するときに意識すべき『3つの目』の重要性」

について詳しく解説しています。

 

「虫の目」「鳥の目」「魚の目」という三つの目は、

ビジネス用語としてもよく用いられていますが、

 

今回は、「魚の目」という「社会の動向を掴むための目」、の代わりに、

「心の目」という新たな第三の目を導入し、模写の重要性を解説してます。

 

模写はただ眺めるだけの分析とは違い、手間がかかるものですが、

  1. 虫の目
  2. 鳥の目
  3. 心の目

という「3つの目」を意識することによって、

模写を通して建築物を分析する際の理解が格段に深まります。

 

この記事を読むことで、

「なぜただ図面を見るだけじゃダメなの?」

「時間をかけて模写をするメリットって何?」

という状態から、

 

「建築物を多角的に深く分析する方法がわかった!」

「模写の意義がわかった!」

という状態になります。

 

模写ワークについて解説した記事はこちら!

まだの方は是非読んでみてくださいね!

 


 

 

それでは、模写をする時に意識すべき「3つの目」について

一つずつ解説していきます。

 

 

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「虫の目」:解像度を上げる

「虫の目」とは、図面や写真の細部をよく見る目のことです。

 

図面や写真をただ眺めているだけでは、

深い部分まで理解することは難しいものがあります。

 

しかし模写をしようとする時、

図面や写真をよく見て別の紙に書き写す、という作業を必要とするため、

より細かく分析しないと上手く書くことが出来ません。

 

「ここの接合部はどうなっているのか」とディテールに目を凝らしたり、

「この材の質感はこうなっているんだ」という材に関する気づきが得られるようになります。

 

つまり、模写には、

「建築物を分析する際の解像度を強制的に引き上げてくれる」

という効果があります

 

しかしそのような、集中のレベルを強制的に引き上げる作業をすることで、

パッと見では気付くことのできなかった細部が気になり始めます。

 

またそのように細かく建築を分析した経験が多いほど、

・他の建築物を分析する際の解像度も上がる

・自分が設計する空間の構成の密度も上がる

・図面やパースを描くときにも、光の反射や材質についての細かい情報を描くことが出来る

・模写した図面や写真の正確な視覚情報を記憶しやすくなる

という大きなメリットもあります。

 

 

 

「鳥の目」:全体の構成を把握する

「鳥の目」とは、全体を俯瞰する目のことです。

 

模写をしていると、どうしても

図面や写真に近寄る「虫の目」ばかりになりがちですが、

一度引き、全体像を捉える事も重要です。

 

・ある部分とある部分の「位置関係」

・人の「動線」や「視線」

・その建築を成り立たせている「構造」

・「光源の位置や角度」と、「照らされている物」や「光の反射」や「雰囲気」の関係

など、

 

「ある対象がそこにある事で、他の対象にどのような影響を与えているのか」

を掴むことも大事です。

 

 

 

「心の目」:目に見えない法則を掴む

「心の目」とは、目に見えない大事なものを捉える姿勢の事です。

 

ただ機械的に模写をするのではなく、

むしろ一度手を止めてあれこれ考えてみる事。

 

「何故ここはこうなっているんだろう?」

「こうすることでこういう効果を狙っているのかな?」

など、

 

「もしかして」や「要するに」という

思考の世界に入り込んでいく事です。

 

 

もし「なぜそのような形になっているのか」を理解しないまま模写をしても、

形が記憶に残るだけであり、

自分の設計に応用する事は出来ないのではないかと思っています。

 

模写をする際には、

「どのような問題があり、

その問題を解決するためにどのような狙い(機能)を持ち、

その狙いを果たすためにどのようなで実現しようとしたか」

という「問題―機能―形」という一連の理解を深める事が必要です。

 

 

この「心の目」にぴったりの言葉を思い出したので添えておきますね。

 

ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。

いちばんたいせつなことは、目に見えない

引用元:サン=テグジュペリ、河野万里子訳『星の王子さま』新潮文庫、p.108

 

 

「心の目」を持つための具体的手法

「心の目」について少し抽象的な説明になったので、

具体的な手法を2つ紹介しておきます。

 

(1)気付いた事、考えた事を言葉にして書く

模写をしながら考えた事、理解した事、疑問に思った事などがあれば、

それは言葉にすることが出来、書くことが出来ます。

 

このように「考えた事は書き込まなきゃ」という心理的な軽いプレッシャーが、

より一層「今何を模写し、それについて考えられているだろうか?」

という自意識を高めてくれるのでオススメです。

 

(2)ダイアグラムを作ってみる

模写して理解したことを、抽象化して簡単なダイアグラムにして説明してみる。

「これは重要だ」「面白い」と思ったアイデアだけを抜き出して整理してみる事で、

自分が設計をする際の応用にも繋がりやすくなります。

 

下のダイアグラムは僕が以前練習として書いてみたものです。

実際にやる場合には、手書きでもっと簡単なダイアグラムでも構いません。

 

最後に:模写を実践している記事の紹介

ここまで、模写をする際に意識すべき「3つの目」についての考えをまとめました。

 

①「虫の目」:解像度を上げる

②「鳥の目」:全体の構成を把握する

③「心の目」:目に見えない法則を掴む

という3つの目を持って、ぜひ模写に取り組んでみて下さい!

 

 

こちらの記事で、実際に模写を僕が実践しているプロセスを写真付きでまとめています。

「具体的にどう模写をすればいいかピンと来てない」

「一回人が模写をどうやっているのかを見てみたい」

という方はこの記事もぜひ!

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