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【書籍紹介】建築学生さんにおすすめの非建築本!!

 

こんにちは!

BEAVER編集部です!

 

今回は「建築学生さんにおすすめの非建築本」の紹介です。

あえての非・建築本です。

 

専門領域外のものに触れる機会は大事です。少しだけ外を見る機会としてこれらをピックアップしました。

Xアカウントでの反響がそれなりに大きかったので、少しだけ突っ込んだ説明をさせていただきます。

以下ラインナップです。

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陰翳礼讃

1冊目。まずは知る人は知っている「陰翳礼讃」です。

「いんえいらいさん」と読みます。「陰影」を褒めたたえる本です。「インエイサイコー!」「インエイサイコー!」

作家である谷崎潤一郎 氏が考える、「日本の美」とは何か?

「日本は影の中に美を見出し、文化を研ぎ澄ませていった」というのが筆者の主張です。

 

この本は終始「私はこう思う」という筆者の思想の押し付けです。笑

が…、驚くべきは筆者である谷崎潤一郎の教養の深さと感度の高さです。

 

筆者は決して建築の知識に明るいわけではないのですが、
日本建築における影の中の空間を、解像度高く語る部分があります。

ろうそくの炎、漆器の輝き、お椀の底…
作家ならではの詳細な語り口…なんとなく粘り気のある文章が癖になります。

 

Amazonのサービスの一環であるAudible(オーディブル版:聴く読書サービス)も出ているのですが、
ナレーターの野口 晃さんのなんとも味わい深い語り口と、谷崎節が相まっていい感じに酔えます。

本書は読むアルコールです。存分にお楽しみください。

 

ファスト&スロー

2冊目は「ファスト&スロー」

行動経済学の集大成とも言える本。人間の脳はどのように機能しているのか?

本書の核は下記の2つの「システム」です。

・「システム1」 =努力せずとも自動的に高速で働く「速い思考」

・「システム2」 =複雑な計算や検証などの知的活動「遅い思考」

 

このシンプルな2軸だけで人間の思考を解く本書は、
人間の行動経済学の集大成といわれており、自身の行動を俯瞰するヒントになるはずです。

内容としては上巻だけ読むだけでも十分です。

 

例えば、就活前に自分の思考回路はどのようになっているのか
それを行動心理学に読み解くのはすごく重要なことではないかと思います。

 

世界観をつくる

3冊目。

「くまモン」の生みの親としておなじみ、クリエイティブディレクターの水野 学さんと、

著作家であり経営コンサルタントの山口周さんの対談本。

業界トップレベルの実力者による対談。その化学反応が実に楽しい本です。

我々は文明の果てに来た。

高度経済社会を経て物理的に満たされた私たちは物を買わなくなりました。
どうしても欲しい物が無いのです。物を買うために働く社会ではなくなったといえます。

この著書の中では出てきませんでしたが、
山口さんは他の著書にて「高原社会」という名前でこの社会状況を言い表しています。

 

日本は文明の成長を終えた。これからは文化の時代である。

すぐれた文化には世界観がある。いかにして世界観をつくり、文化を売り込めるかが、今後の今後の日本には不可欠な要素である。

…というのが要点です。

 

GDPが低迷する日本ですが、いわば日本は「ゴールした」ということなんです。

大量生産が必要なくなり、これ以上便利にする必要もない。テレビリモコンのボタンは不必要にどんどん増える。

 

この書籍は、これまで到達した国が無いこの状況、いち早くゴールがした日本の行く末を語る本です。

 

カラー&ライト

4冊目。アーティストによるアーティストのためのカラー講座本。

CGや写真のレタッチなどに役立ててほしい1冊です。

この本はアーティスト視点で、様々な色の反射から、奥行き方向に対する色の減退など
「そうだったの!?」と思うような学術的知見が絵と共にまとまった本です。

PhotoshopのレタッチやCG作成にて、なんとなーく光や色のことを捉えていませんか?
リアルな世界がここにあります。

 

特に「空気遠近法」はCGの仕上がり向上において重要な要素です。

また、明るい時、暗い時、ある環境の条件下では、明度が下がるのか、彩度が下がるのか?
なぜそのような現象が起こるのか、目の構造と細胞の働きから解説してくれています。

 

これを読んで、自信を持って色を使ってください

 

銃・病原菌・鉄

5冊目。これもまた有名な書籍です。

いうなれば人類史。似た本に「サピエンス全史」がありますね。

壮大なスケールで描かれた人類概略史。

内容について「こんな単純ではないし、異なる事実もある」という話もありますが、
環境や地理的観点に基づき、大きな流れで人間を解釈した、このダイナミックなストーリーは感嘆に値します。
大事なのは、流れをつかみ、解釈すること。

 

人類の歴史というのは、勝者の歴史も敗者の歴史もごちゃまぜで、
必ずしも理屈だけでは語れない、
複雑怪奇な膨大な情報の集積です。

 

そこに「銃・病原菌・鉄」という3つの観点から人類を解釈しようとしていること、

これは設計行為やあらゆる創作において、非常に重要な視点です。

 

流れと解釈を学ぶ上で、この本は参考になるのではないかと思います。

何より内容が面白いです。

 

日本再復興戦略

6冊目。思考だけにとどまらず、実行に移す日本の若き天才、落合陽一氏による著書。

国立大学内での起業という新たなスキームをつくり、実行

そして学生に投資して日本をよくしていくという、力強くも地に足の着いた戦略。
本書での、「批評家にならずにポジションをとる!」という考えはすべてに通じる変革の礎です。

 

日本復興のグランドデザインとしては、
人口減少と少子高齢化をネガティブにとらえるのではなく、ポジティブにとらえるべき、というものです。

人口減少時代においては「機械化が正義」として働くため
産業革命時に発生したような「打ち壊し運動※」が発生しにくいため、日本と機械は相性が良いのです。

 

また、世界で初めて少子高齢化社会に対策できる方法を生み出せたのならば、
これを輸出することができるのではないか、だからチャンスであると。

 

その他、様々な角度からテクノロジーを中心にその解決論が語られます。

最新の技術に関しては落合陽一さんに関連する書籍やメディアに触れておくといいかもしれません。

 

※打ち壊し運動(ラッダイト運動)
:産業革命時に発生した熟練工による機械や工場の破壊運動。

 

断片的なものの社会学

7冊目。圧倒的な具体性、フレームの外にある事象を扱う本。

著者の岸政彦さんは「個々の物語」に重きを置き、「生活史」というシリーズ本を書いています。

東京・大阪・沖縄…数百人にインタビューした膨大な「個の記録」です。書籍は鈍器のよう。

 

この「断片的なものの社会学」はその一部を味わえるような書籍です。
極めて小さい、極めて狭い価値を綴る本
社会学とありますが、エッセイです。

さきほどの人類史とは違い、まったく脈絡のない個別の事象、

些末な事象を語る、異色の内容ですが、この圧倒的な具体性が時に重要になることもあるのです。

 

ヴィジョン

8冊目。映画のビジュアルづくりに関する技能書。

建築は写真的にとらえがちですが、動画としてを読み解くべきではないでしょうか?

映画にはカメラアングル、役者の配置などのテクニックの他、「魅せる絵」が随所に配置されています。

この「意図を持った絵作り」はコンペで使うパースそのものです。

 

また、どのようなシークエンス(場面の展開)を描くかの知識も、映画(動画)における表現の中、
あるいは建築物を訪れた実体験でしか得ることができません。

よって、(これは個人的な感覚ですが)建築は写真よりも動画ではないか、と思うのです。

 

具体⇄抽象トレーニング

最後、9冊目。素晴らしい本です。

「物事を俯瞰(ふかん)しなさい」と言われ、もしもその意味が腑に落ちていない人は必ず読むべき本!

 

「抽象化能力」は、本をたくさん読んだり、会話が好きな人にはおなじみかもしれませんが、
「隠れた能力」な側面があります。 抽象化ができるようになると、明確に思考がアップデートされます。

 

今回9冊紹介していますが、抽象化ができない人にとっては、これが一番大事な本です。

必ず読むべき本です。必ずです。

 

これができる人にとっては、ごく当たり前の内容なので、
このような本がなかなか出なかったのかもしれません。そういう意味だと本当に素晴らしい本だと思います。

 

これであなたも、思考2.0になれます!

 

おわりに

だいぶ厳選した9冊を紹介しました!

興味のある本、知らない本はありましたでしょうか?
程よくジャンルや知名度を散らしたつもりです。

 

他にもたくさん紹介したい本はあるのですが、

また今後の機会にXアカウントなどで紹介しします。

 

是非チェックしてみてください。

 

それでは!

 

BEAVER 編集部

 

 

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